そいつぁつらいぜ分室 〜駐在員細田の語学学習〜

ドイツ駐在員細田がドイツで語学を学びます。主に英語とドイツ語の学習記録。本家はこちら→http://o81hosoda.hatenablog.com/

一から学ぶスペイン語 〜多言語学習アプリDuolingoの有効性と課題

 こんにちは、細田です。前回のエントリーから身辺に色々ありましたが、その話は置いておいて、いきなりですがスペイン語の話をします。

 スペイン語をやってみようと一念発起し、英語やドイツ語を差し置いて新言語を始めました。旅行で行ったスペインが非常によいところだったので、そのうち再訪してスペイン語で話せればいいなーという淡い思いからです。

 ドイツ語の学習経験(下リンク参照)から、「基本文法と単語1000個くらい」を覚えると読める文章の幅が広がることがわかっていたので、如何にそのステージをスムーズにクリアするかを考えました。

hosoda-english.hatenablog.com


 考えた結果、「Duolingoというアプリをメインの教材として使ってみることにしました。そして、Duolingoのスペイン語コースを結局最後までやった結果、基本文法と単語1000個以上を習得することができました。ただし、アプリですべてが補完できるわけではないことも分かったので、他のアプリや参考書とのおつきあいについても考えました。

 
Duolingoとは

 Duolingoは、様々な言語を学べるアプリです。とにかくたくさんの言語を学べます。メジャー言語だけでなく、アラビア語エスペラントスワヒリ語ハワイ語なんかも学べるようになっています。細かい仕組みは他のウェブサイトに譲ることにしますが、非常に夢のあるアプリだと思います。

en.duolingo.com↑アカウント登録すれば、携帯からもPCからも連動する

 

 ただし、メインのメタ言語が英語です。英語が読めないとスタート地点に立てないことが日本人への門戸を狭めている感はあります。
(日本語で学べる言語は現在英語と、中国語コースの一部だけ。そのため日本語の宣伝では「英語を学べるアプリ」という触れ込みになっているようです…が、正直勿体ない)

 さて、今回英語→スペイン語のコースを最後まで完走したのでレビューします
まず一言でまとめると、


「Duolingoでの学習はけっこうしんどいけど、やれば身につく」

です。個人的には好きなアプリです。

 

Duolingoでやること

 簡単な単語と文法を覚えることからスタートし、かんたんな文章を読んだり作ったりすることで言語への理解を徐々に深めて行きます。コースをひととおり終えると、入門~初級の教科書に書いてあることはだいたいカバーできます


 基本的に以下の形式の問題を繰り返し解くことで身に着けていくスタイルです。
 学ぶ文法項目ごとに単元がいくつもわかれています。各単元の習熟度に応じて出題方式が変わり、選択式から作文に至るまでレベルが上がっていきます。

レベル1
・択一式の問題「〇〇を意味する単語を選んでください」「〇〇を意味する文章はどれですか」
・並び替え問題「〇〇を意味する文章を翻訳してください」
・発音「以下の文を発音してください」
・リスニング「聞こえた文章を選択肢から選んでください」「聞こえた文章になるように単語を並び替えてください」

↓↓↓↓↓↓


レベル2
・単語書き取り「〇〇を意味する単語をタイプしてください」
・作文「〇〇を意味する文章を作ってください」
・リスニング「聞こえた文章をタイプしてください」

みたいな感じ。

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↑問題のバリエーションの一例


 単元で学ぶ文法項目も概観できます。「Tips」のページを参考にしながらコツコツ解いていきましょう。 繰り返し似たような問題が出てくるので、だんだん読める単語やわかる文法が増えていきます。

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↑Tipsの一例

 

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↑Tipsに出てくる猫がかわいい。



最後までやった結果できるようになったこと

 約2か月続けることで、159の単元を終わらせました。だいたい1日平均2~3単元ぐらいですね。15分程度しか時間が取れなかったときも、2、3時間ずっとポチポチやっていたこともありました。で、結果、概算で12000ぐらいの問題数をこなせました。
 2か月で新言語の初級文法をひととおりカバーできたことはよい経験でした。また、新言語を始めたいけど何からやればいいのかわからないなぁ・・・という迷いを消してくれる安心感がありました。

 

 結果、以下のことができるようになりました。

1.簡単な文章は読める
 例えば、スペイン語のスポーツニュースのタイトルは(ときどき辞書を見ながら)分かるようになりました。記事本文も分かる部分はそこそこあります。辞書を引きながらゆっくり読めば、ほぼ100%理解できます。(自己評価)
 旅行のときに買って帰ってきたレシピ本も読めます。便利です。

2.歩いてると、「あっこれスペイン語だったんだ」ってなる
 日本の街中でわりとよく見かける外国語第3位くらいなのでは?と思いました。結構あるんですね。気づきの範囲が広がります。

3.英語とか多言語の勉強にもなる
 スペイン語をやってから気が付いたのですが、他の言語の勉強になります。英語と似た単語があったり(たぶんラテン語源流なのでしょう)、文法が似ているところ、違うところ・・・というように他の言語と比較したりすることで、多言語も同時に勉強できている感じがします。

一方、リスニングはあまりできていないと思います。基本文法と基本単語を身に着けただけなので当たり前ですが、もっと単語数や瞬発力を身につけないと聞き取りは厳しそうです。



Duolingoが合う人、条件

 Duolingoは「一日15分の学習で楽しく外国語を学ぼうみたいなキャッチフレーズで宣伝されているようです。

 が、正直に言うとDuolingoでの学習は(効果は自覚できた反面)修行のような単調作業でした
 楽しく15分で勉強することもできなくはないですが、たぶん終わるのに1年以上かかる。1日1時間くらいは向き合っていないと進んでいる感がありません。

 また、後述のように、Duolingo内の文法解説だけでは情報が足りません。このような癖のあるアプリなので、学習に向いている人や条件がありそうだと感じました。

1. これからやる言語を全くしらない人向け

 Duolingoのコースは非常に簡単な問題から始まります。「必要な文法項目と単語に繰り返し触れながら、莫大な問題数に当たることで覚える」という仕掛けになっています。
 初期の問題がどれくらい簡単かというと、「Manはどれ?」と言われて、男の人のイラストとスペイン語の単語が書いてある選択肢を選ぶところからはじまります。他にも、「4はどれ?」とかいってイラストにでかでかと「4」が書いてあったりするので正直馬鹿にしてんのかと思うレベルではあります。
 が、これをひたすら解いていくと自然と単語を覚えられる仕掛けになっています。
 つまり、超初級レベルから始まるからこそ、対象言語を多少やったことがある人には退屈で冗長に感じるはずです。

 なので、Duolingoのポテンシャルを最大限に活かせる条件は「全く知らない言語を1から始める場合」だと感じました。
 (実際、基本文法を一通り学習済のドイツ語をやってみましたが、冗長に感じて長続きしませんでした)


2. 多少の根気がある人向け

 Duolingoの演習は結構単調です。

 上述のとおり、単語を並び替えて課題文の対訳を作る問題、単語を4択で選ぶ問題、正しい対訳を3択で選ぶ問題、などがメインです。少しレベルが上がると対訳をタイピングする問題が増えますが、やってることは変わらず英訳・西訳ですから、単調なことに変わりはありません。
 この単調なトレーニングを日々繰り返せるかが結構ポイントです。やり遂げれば一定の成果があることは身を持って保証しますが、一度学習期間に穴が開いてしまうと一気に忘れてしまいそうな気はしました。


3. 自力で調べたり、副読本を用意できる人向け

 文法解説のコーナーは用意されていますが、非常に簡素な作りになっていますし、そこに書いていない内容もいきなり出題されたりします。途中で分からなくなることもあると思いました。
 新しい単語もどんどん問題に放り込まれてきます。おそらく、「不親切だなあ、しんどいなあ」という心理的負荷をかけることで正答を記憶しやすくするような仕組みになっていたりするのかもしれませんが、基本的に不親切だと思います。
 莫大な問題数をこなして記憶することができるのは確かにメリットですが、Duolingoの情報のみではすべての文法項目を納得しながら覚えることはまず無理です。本やネットの情報を逐一参照しながら進めていく必要がありました。この作業を厭わない人、もしくは、そのくらいのやる気がある人に向いていると感じました。
 

 一番最後に、使用した副読本やホームページをざっと列挙しますので、参考にしながら使っていただけると嬉しいです。


まとめと今後


 一長一短あるDuolingoですが、新しい言語を学ぶとっかかりとしては非常にちょうどいいです。
 「やりたいけど何からいいのかわからないし・・・」という躊躇いを確実に減らしてくれます。基本無料なので、まずはポチポチやって試してみてください。

 ここから先のレベルに進むためには、他の書籍や勉強法に頼る必要がありそうです。英語以外の言語は良著やバリエーションが多くないこともあり、合う本を選ぶことが難しいですよね。今後いろいろ試してここで報告したいと思います。

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全コースをクリアするとトロフィーをゲットできます。地味に嬉しい

 

 

参考書籍、アプリ


 最後に、学習の参考にした本を並べておきます。

 誤解のないように付け加えますが、「以下の本を全部やらないとDuolingoの内容が理解できない」というわけではありません。勉強が非常に楽しかったので、効率的、体系的に学習ができるように補助教材を選んでいます。
 

 なお、単語に関しては「キクタン入門編」のほぼすべて、「初級編」の6、7割程度をDuolingoがカバーしていました。キクタンを通勤の車の中で聞くことで相当記憶の助けになりました

 

スペイン語のしくみ

スペイン語とはどういう特徴のある言語なのか、とても平易に説明し、概観してくれる本です。Duolingoだけをやっていると全体像が全く見えないので、早い段階で通読しました。全体像がぼんやりでも見えていると学習の指針が立ちやすいです。

 

東京外国語大学 スペイン語モジュール

 外語大の学習者向けページ。初級文法の大事なポイントが簡潔かつ明瞭に説明されているため、サクッと調べて参考にさせてもらっていました。

 ほかの言語のページもたくさんある。さすが外語大です。

www.coelang.tufs.ac.jp

 

『辞書by物書堂』 & 『小学館 西和中辞典 和西辞典』

 iPhone向け辞書アプリ。学習の傍ら参考にできるのでめっちゃ便利。「辞書by物書堂」アプリをインストールして、そのアプリ内で西和辞典を購入する形になっています。手軽に辞書を引けるので本当に便利。活用形一覧も役に立つ。レイアウトもよい。Duolingoでの勉強中一番お世話になった。

 この「辞書by物書堂」非常に便利なので、他にもアプリ内で「独和大辞典」を買いました。多言語学習のよい友だと思います。

www.monokakido.jp 

NHK出版 これならわかるスペイン語文法 入門から上級まで

 初中級レベルが中心の文法書ですが、「入門から」と書いてある割にはあまり入門者にやさしい構成にはなっていない。しかし、ちょっとした疑問にはっきりと答えてくれるので、不親切な設計のDuolingoを補完してくれる重要な存在でした。

 上述の通り、何も知らない状態で読む本ではないと思いました。レベル3くらいまで終えると認識語彙が増えて文法がわかってくるので、その頃に読み始めると気付きが増え、頭の中で知識が整理できると思います。

 逆に、レベル3くらいまでの内容はDuolingoだけでもなんとかなると思いました。

 この手の文法書は、文法の勉強の得意不得意に応じて好みの本を見つけるといいかなーと思います。

 

キクタスペイン語 入門編 & 初級編

 中身は標準的な単語帳ですが、見出し語と日本語訳を順番に読み上げてくれるオーディオファイルがついているのが購入の決め手。そのため、通勤の車中で暗記するのにもってこいでした。Duolingoで見かけた単語はほぼすべてこの2冊に入っていました。

 この手の単語帳は日本語訳が音声に入っていないことが多いので、その一点だけで差別化できていると思います。ただし、テンポを重要視したせいか、例文は読み上げられないので要注意

 

 

スペイン語力養成ドリル 2000題

 ひたすら問題が載ってる問題集。文法の説明は少ないし、答えにも解説はついていないので、とにかくひたすら解いて覚える副読本という感じ。

 そういう意味でDuolingoを解きまくるのと役割はあまり変わらないので、学習中はあまり使わなかった。Duolingoを解きまくっても物足りない人は使うべき。

 

 

次読みたい本

 

スペイン語接続法 超入門

 スペイン語の鬼門と言われている「接続法」に関する本です。英語で言う「仮定法」に相当する文や、願望や婉曲表現のような微妙な感情を表す表現によく使われるそうです(学習中のため不明瞭)。Duolingoでは後半のごく一部にしか接続法が登場しないため、練習不足が否めません。

 今後の学習に重要だと思いますので、この本を読んでおきたいと思っています。